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 左の前腕から肉と皮膚を突き破って飛び出している白い骨を、凌壽は片膝を突いてうっとりと見つめた。
「昌浩、痛むのか」
 応えはない。痛みに震える肩が微かに揺れているだけだ。
「すまないな、本当は痛い思いなんてさせたくないんだ……信じてくれるよな?」
 甘ったるい猫撫で声をかけながら、凌壽はゆっくりと昌浩に手を伸ばした。
「そんなに痛いんじゃ困るだろう。……さっき死んだ時に、そのままでいたらよかったのになあ」
 うつ伏せの昌浩の襟首を掴み吊り上げる。抵抗はなかった。だが、うっすらと瞼を開いて、苦痛に眉を寄せて、彼は真正面から凌壽を睨みつけていた。
 その黒瞳の中には、まだ白い焔が燃え上がっている。
 凌壽はひっそりと笑みを深くした。
「お前の死を感じたぞ。確かに感じた。これで終わりと思ったものさ、だってここには何もないからな。俺がそう創ったんだから。なのに、なんでまだ生きている? おかしいよなあ。……当ててやろうか」
 濁った鉛色の瞳が背後に向いた。それに気づいた昌浩の眉が吊り上がる。笑いながら、薄い唇が囁いた。
「あの男を殺しかけたんだろう?」
「……っ!」
 ぱん、と乾いた音が響いた。
 寸前まで全く動かなかった右手で凌壽の頬を張り飛ばした昌浩は、肩で大きく息をしながら凌壽を睨み上げていた。視線が武器になるのなら、そのまま射殺せそうなほど殺気を込めて。
 凌壽は打たれた頬を押さえようともしなかった。赤くなった肌がすぐに元の色を取り戻す。
 彼はにこりと微笑むや否や、昌浩の腹を蹴飛ばした。
 凌壽の手から離れた小さな体が地面を転がりくの字に折れ曲がる。息が詰まったのか、昌浩は胸と腹を押さえて肩を震わせていた。
 一部始終を目撃していた紅蓮の頭が燃え上がるように熱くなる。体の奥底から得体の知れない何かが沸き起こり、彼の全身を満たしていく。同時に、尽きかけていた神気が体の裡に僅かに蘇った。
「なんだ、図星か? 怒るなよこれくらいで」
 立ち上がった凌壽は昌浩に再び近づき、その体を足蹴にした。もはや呻き声すらたてることのできない昌浩は簡単に転がってしまう。その時、凌壽の視線がちらりと紅蓮へ向いた。
 その目は明らかに、紅蓮の焦燥と怒りを楽しむものだった。
 紅蓮は直感する。――奴は紅蓮の反撃の可能性も、何もかも承知の上で昌浩を嬲っている。
 それを防いでみせるという、確固たる自信があるからだ。
 凌壽は再度苦悶する昌浩へと視線を戻し、意地悪く問いかけた。
「そうそう、丞按はどうした。奴の姿が見えないぞ? 殺したのか?」
 びくりと昌浩の手が震え、拳を作る。あからさまな動揺を凌壽が見逃すはずもなかった。矢継ぎ早に、言葉という名の鋭い刃が突き立てられていく。
「確か十二神将っていうのは人間を傷つけちゃいけないんだろう? ならどいつが丞按を殺ったんだろうな。あそこで俺を睨んでる怖い奴か? いや、どうも違うなあ」
「……黙れ」
 昌浩がやっと言葉を口にする。
 痛みとは別の震えが、彼を襲っていた。
 砂と血が残る昌浩の頬に凌壽の指が伸びる。いっそ優しいほどの触れ方をして、血を拭うように長い指が這った。
「人の臭いのする血だな、昌浩」
「――っ」
 瞬間、昌浩の手に感触が蘇った。
 筋と肉を裂いて柔らかい内腑へ達した時の感覚。生臭い、噎せ返るほどの血臭。生きているものの、灼熱に等しい生の温度。
 気づけば昌浩は横を向いて、胃が痙攣するままに嘔吐していた。
 酸っぱい胃液が喉を焼く。食道と胃がひっくり返ったように捩れ、えずきが止まらない。涙が自然と滲んでくる。
「かわいそうに、」
 咳込む昌浩を見下ろしながら、凌壽は楽しげに哄笑した。
「あんなに大事にして、仲良くなろうとしていたのになあ。昔から人里に下りて遊んでいたっけか。妖よりも人間の方を守ろうとしていたお前が、とうとう殺したのか。
 ほら、俺が言ったとおりになっただろう。それがお前の本質だ。俺と同じ、黒い忌み子の血さ。
 お前は人を愛してなどいない」
「違う……!」
「違わないさ」
 酷い嗄れ声を張り上げて昌浩が反論する。それを、凌壽は無情なまでに切って捨ててみせた。
「お前はただ、自分の体の特性をだしにして奴らと自分を同一視していたにすぎない。いくら再生できようが、痛いのは変わらないんだろう? 自分の体が傷つくのは嫌なんだろう? だから同じ弱さの人間が傷つくのを目にしたくなかっただけだ。そこに埋没して同化したかっただけさ。そして他者と割り切ってしまいさえすれば、ほら」
 黒く長い爪が、丞按の血で赤く濡れた肢体を指した。
「こんなに簡単に命を奪ってしまえるんだよ」
 咳込んでいた昌浩の黒い瞳が息を呑んで凍りつく。

 刹那、風を切る音と共に銀光が煌めいた。

 凌壽が一瞬で振り返り黒爪で受け止める。甲高い異音が皆の鼓膜を平等に乱打した。中宮を安全な場所まで避難させに行っていた六合が、窮地に駆けつけたのだ。
 銀に光る穂先を受け止められると同時、槍が反転し石突部分の刃が弧を描いて襲う。右半身構えで繰り出される突きと薙ぎが、幾筋もの銀の軌跡を残して織り交ぜられる。一呼吸しない内に繰り広げられた攻防の軍配は、しかし、凌壽へと上げられた。
 全てを防ぎきった凌壽が、一気に間合いを詰めて六合に肉薄する。
「遅いんだよ」
 眼前の嘲りに、六合の無表情が初めて微かに歪んだ。
 凌壽はそれすらも楽しんでいるようだった。
 突如、六合の周囲を真っ黒な暗闇が包む。彼は槍の柄で凌壽を牽制しつつ身を引くが、その足を闇が掬った。体勢を崩した六合の全身に闇が絡みつき、地面へと引きずり倒す。ぶちりと音を立てて闇が千切れ、滲むように凌壽の元へと還っていく。
 邪魔者を片づけ、凌壽はつまらなさそうに髪を払った。
「まったく、しぶとい連中だな」
 転がった昌浩を軽く蹴飛ばし仰向けにする。凌壽の右人差し指から、爪が音を立てて伸びた。長い刃と化したその爪を、凌壽は無造作に昌浩の細い右腕へと突き立てた。
「っあ……!」
 悲鳴が上がる。
 爪は肉を貫通し地面まで至っていた。ぶるぶると痙攣する腕、その傷口から血が溢れ出す。無邪気な子供が戯れに虫を針で縫い止めるような、残酷な仕打ちだった。
 もがけばその分痛みが倍になって返ってくる。最早抵抗のみならず行動すらも制限され、苦痛を享受するよりほかにない。
 甘い絶望が昌浩の心臓にひたひたと押し寄せる。
 だが、それでも、彼は――凌壽を睨みつけるのをやめなかった。
 ひたむきといってもいいだろう眼光に満足げに微笑して、凌壽は口を開いた。
「さて、どう料理してやろうか。手足をぶち折るのは――昔にやったっけな。切り落とそうか? いくらお前でも、そこまでやったら難しいだろう。……それとも、」
 硬質な音を立て、爪が根本から折れる。
 凌壽は自由になった人差し指からまた爪を伸ばして、昌浩の襟首を鋭い切っ先でなぞった。
「あいつらの目の前で辱めるのもいいかな」
「――っ!!」
 昌浩が深く呼吸をして、双眸に灯った焔が激しさを増した。
「……殺してやる……!」
「おやおや、実の兄に酷い言い種だな」
「――俺はもう、お前の弟なんかじゃない……!!」
 血を吐くような、殺意と憎しみのこもった唸り。
 昌浩の口から放たれた言霊とは思えない、凄絶な殺意。
 それとは別の衝撃が、一部始終を見守ることしかできない神将たちを揺さぶっていた。

 誰もが耳を疑っていた。
 凌壽が、昌浩の兄なのだという事実に。

 機嫌良く笑いながら、凌壽は自らの弟を見下ろしていた。その指がぱちんと鳴ると、昌浩の体がゆっくりと浮き上がる。爪先が地面から離れ、砂地に赤い液体がぼたぼたと零れた。霊力で拘束され指一本動かせない昌浩の胸元に、舐めるような鉛色の視線が注がれる。
 汗みずくの真っ白な顔で、ひゅうひゅうと喉を鳴らしながら、昌浩は凌壽を睨めつけるのをやめなかった。
「抵抗するなよ。分かっているとは思うが、抵抗したら」
 凌壽が顎をしゃくってみせた。
「一匹ずつ殺してやる」
 昌浩が唾を嚥下して、必死に息を整えようとしている。紅蓮は地に伏しながらその様子を見上げていた。
 黒い帯に吸い取られないよう、細心の注意を払いながら深奥で高めている神気はまだ術を破るほど強まっていない。時が足りない――
 ぎりぎりと歯を鳴らしながら焦燥にかられていた紅蓮は、その時はっと息を呑んだ。
 凌壽の肩越しに、昌浩が紅蓮を見つめていた。唇を引き結んで。だが責めるのでもなく、泣きそうなのでもなく、怒りでもなく――いっそ穏やかと形容してもいい、透明な表情をして。
 それは真摯な眼差しだった。
 すぐにその視線は外され、凌壽へと戻る。微かに眉を寄せて睨む表情に紅蓮は不吉な物を感じた。酷く嫌な感じだった――大声を出して彼を止めたかった。しかしそれができないほど紅蓮の力は奪われていた。
 凌壽が最前までの様子とは打って変わり、ぞっとするほど静かな声音で問いかける。
「最後に何か言い残すことはあるか?」
 ゆっくりと深呼吸をして、昌浩は凌壽へと目を合わせた。
「――俺はお前とは違う。だから俺はお前の糧にはならないし、誰もお前の糧にはならない」
 ほんの少し、凌壽が瞠目する。彼は目を伏せ、静かに呟いた。
「……そうか」

 途端、鈍い音が空気を引き裂いた。

 真っ赤な液体が花のように散る。降り注ぐ花弁が砂に染み込んで黒くなる。貫かれた昌浩の細い肢体が衝撃に揺れ、垂れ下がった手足がびくびくと痙攣する。
 薄い胸郭を突き抜けて見える血塗れの腕には、仄白い玉が握られていた。
「――っはははは!!」
 癇に障るひきつった声が大笑する。
 凌壽が腕を振ってごみのように昌浩の骸を足下に叩きつけた。その拍子に昌浩の髪を結わえていた紐が切れ、地面に長い頭髪が散らばる。胸からは血が止めどなく流れ、砂が吸い切れずに大きな血溜まりを作っていく。
 出来の悪い人形のように放り出された昌浩は、目を見開いたまま口元を真っ赤に染めていた。
 即死だった。
 ほんのりと発光している薄蒼い天珠を手中に収め、凌壽は舌先を伸ばした。熱に浮かされたように、恍惚と残った血糊を味わう。
「ようやく手に入れたぞ……ああ、長かった」
 あれほど執着していたはずの昌浩に目もくれない。凌壽の眼中にあるのは天珠だけだった。
 歓喜にうち震えながら、彼は明滅する天珠を清めていく。
 直後、
「……ああああっ!!」
 その背後で巨大な火柱が噴き上がった。
 金属の砕ける音と共に膨大な神気が弾け飛ぶ。撒き散らされる熱が凌壽の血色の悪い肌を焼いた。振り返ると、黒髪を焼き切った赤い神将が白い炎に包まれ、真紅の眼光を凌壽に突き刺していた。
 額を飾る金冠に細かな罅が入り、今にも砕け散りそうである。
 仲間の神将の呪縛も炎によって弾け飛んだ。素早く立ち上がり体勢を整えた三人の神将が一斉に武器を出す。
 凌壽は見せつけるように天珠をぺろりと舐めた。
「俺は今機嫌がいいんだ。見逃してやるよ」
「貴様……っ!」
 炎を操る神将――紅蓮が歯軋りするや否や、一足飛びに間合いを詰めて手のひらを翳した。鉄すら溶かし尽くす煉獄の炎を、直接凌壽にぶつけるつもりなのだ。
 しかし、凌壽にはもう神将たちと戦う理由がない。彼の目的は既に達した。昌浩の心臓、天珠は彼の手の内にある。今更無用な戦いをする気などさらさらない。
 薄く笑ったまま、凌壽は跳び退こうとした。その瞬間だった。
 がくんとつんのめり、彼は完全に意表を突かれて驚愕した。
 片足を地面に縫い止めている何かがいる。凌壽の足首を掴んでいる何かが。驚きのままに見下ろすと、
 そこにいたのは、絶命した筈の弟だった。
「馬鹿なっ……」
 見開いた目には生気がない。死者の虚ろな暗闇が見当違いの方向を向いているだけだ。胸には大きな穴が空いて虚を晒している。口元からは口腔に残った血が未だ零れ落ちていた。奪い取った天珠は――天狐の力の源/心臓/魂は――物言わぬ肉体から遠く離れ、確かに凌壽の手にあるというのに。
 それなのに、死体の右手が信じられないような力で凌壽の足首を握りしめていた。
「この……!」
 ひとりでに動きだした骸の存在は、凌壽にとって全くの計算外だった。その動揺を十二神将が見逃すはずもない。間合いの遙か彼方から放たれた、光輝く神気の刃が凌壽に命中する。間一髪の所で築かれた霊壁が凌壽を守るが、攻撃と対消滅を起こして消失する。
 次の瞬間、燃え立つ白銀の龍を纏った貫手が目にも止まらぬ早さで凌壽の脇腹に突き刺さる。同時に――昌浩の骸が自動的に吸気の術を発動させた。

 薄暗い世界に、天狐の絶叫が響き渡る。

 生気を吸われ、内腑を煉獄の炎で灼かれ、凌壽が苦悶のままに髪を振り乱した。その足下の昌浩は目を見開いたまま、どことも知れぬ虚空を映している。だがその胸に空いた穴や身体に刻まれた傷が、桃色の肉を生んで急速に塞がっていく。右腕に刺さったままだった凌壽の長い爪が肉に押され、地面に転がった。
 質の悪い悪夢を見ているような、異様な光景だった。
 胸郭の虚が完全に埋まり、皮膚が表面を覆う。そこでようやく、昌浩の全身を包んでいた燐光が蛍火のようにぱっと散って消えた。
 深呼吸二回分ほどの、僅かな間の出来事だった。
 昌浩の指から力が抜ける。束縛から解放された凌壽が力を振り絞り、紅蓮の右腕を掴んだ。その鉛色の双眸が殺意に漲り、目の前の男に焦点を合わせる。未だ臓腑を灼く神将を睨み、凄絶な笑みを浮かべた。凌壽の身に戻ってくる妖力に操られ、その右手が掴んでいる天珠が淡く発光する。
 瞬間、紅蓮の体躯を隠れ蓑にして接近していた勾陳が、凌壽の死角から筆架叉を振り下ろした。
「かっ……!!」
 凌壽が両眼を見開いて仰け反る。
 注意力が削がれていた為であろう、刃はやすやすと凌壽の右肩へと食い込んだ。迸る神気が骨を断ち、空中高くに凌壽の腕と血を撥ね飛ばす。紅蓮が凌壽の腹から腕を引き抜き、地面を蹴った。断ち切られた右腕を掴み取り着地する。
 身体から離れてもなお、凌壽の腕は名残惜しげに天珠を握りしめていた。その小さな玉を紅蓮が毟り取る。用済みとなった腕を一瞬で灰塵へと変え、彼は凌壽へと向き直った。
 勾陳と六合の刃を避け後退った凌壽は、溢れ出る血を押さえながら憎々しげに神将たちを睨み返していた。やがてその視線が紅蓮の握りしめる天珠へと向けられる。
 一度は手に入れたものを奪われ、怒り心頭に達しているようだった。
「貴様……覚えておけ」
「いつでも来い。返り討ちにしてやる」
 冷え冷えとした応酬が交わされる。紅蓮も、凌壽も、共に眼光鋭く殺気と悪意に満ちていた。
 炎の闘気が一際大きく膨れ上がる。凌壽が舌打ちし、身を翻らせた。痩躯が薄闇に溶け消え失せる。
 人界へと逃げたのだ。
 異空間の中から凌壽の妖気が消失する。確信が得られるまで辛抱強く構えを取っていた紅蓮は、すぐさま昌浩へと駆け寄った。
「昌浩……!」
 一番近くにいた六合が目を閉じたままの昌浩を抱き起こし、口元に手を翳す。が、彼はすぐに首を横に振った。
「息をしていない」
 こんな時でも無感動に響く声音が、無性に心に爪を立てた。
 喉がひりつくように痛い。唾を飲み込むことすら苦痛になる。紅蓮は破れた服の上、薄い胸元に手のひらを当てるが、心臓の鼓動を感じることはできなかった。
 それもそうだ。昌浩の心臓は、今紅蓮の手の中にあるのだから。

 ――凌壽に貫かれる直前の昌浩の瞳を、紅蓮は思い出した。
 あの透明な眼差し。あの色に乗せられていた感情。悲痛な叫びでも、絶望でもない、真逆の声。
 あれは覚悟だった。そして信頼だった。
 彼はきっと、確信していたのだ。

 紅蓮が己を助けてくれるのだと。

「……っ」
 衝動的に、紅蓮は昌浩の手を取った。天珠を彼自身の手で握らせる。あるべき場所にあるべき物を戻したかったが、傷が塞がっていては戻せない。だからせめて、一番近い場所へ彼の魂を置いてやりたかった。
 どれくらいの時間がかかったのか、この時紅蓮は覚えていなかった。永遠に等しい程伸ばされた瞬間の中でせめぎ合う絶望と希望が心を千々に乱していく。耐えるしか術はなかった。直感で取った行動が、自身の望む結果へと繋がるよう祈るしかなかったのだ。
 やがて。
 ぶるりと昌浩が痙攣し、横を向いて血を吐いた。気道に入り込んだ血を噎せながら吐き出すその顔色は、だんだんと血色を取り戻している。
 安堵で全身から力が抜けながら、紅蓮はほっと息をついた。
 彼は助かったのだ。
 呼吸も霊力も体温も何もかもが弱まっているが、昌浩は生きている。
 ようやく周囲を見回す余裕ができ、紅蓮は視線を上げた。退避させていた中宮は、いつの間にか勾陳が抱き抱えて連れてきていた。そんなことにも気づかないほど、昌浩に集中していたことにようやく気づく。
 六合がそっと、そんな紅蓮に昌浩を差し出してきた。
「……すまん」
 寡黙な神将の鳶色の瞳が、はっきりと丸くなった。驚いているのだ。自然に口を突いて出ただけだったのに、どこか居心地が悪くなる。ただ礼を言っただけだというのに、こんな反応をされるのは理不尽ではないだろうか。
 目を逸らしつつ、紅蓮は昌浩を受け取った。その時だった。
 石を鑿で削り取るようなはっきりとした破砕音が耳に入り、一同は宙を見上げた。一定の間隔を置きながら、音はだんだんと大きくなっている。足下からは細かな振動が起き始めた。――これも時が経つごとに強まっている。
 空間の創世者である凌壽が消えたために、異空間が崩壊を起こしているのだろう。
「まずいな」
 六合がぽつりと呟いた。その視線はすぐ近くにある空間の歪みへと向けられている。
「脱出するぞ」
 勾陳が皆に声をかけ立ち上がらせた。像が歪む辺りに手を翳し、神気を発して探る。繋がっている先が人界でなく、全く違う異空間だった場合を危惧しているのだ。しばらくして彼女は同胞を振り返ると頷いて、道を確保するために神気を注ぎ始めた。
「間違いなく人界に繋がっている。騰蛇、お前から行け。私は殿になる」
「……わかった」
 異音はますます酷くなり、彼らの背を押すように急かしている。
 紅蓮は腕の中の昌浩に目をやった。口元を汚しているが、呼吸は正常に戻っている。だが覚醒する気配はない。この容態で位相の異なる空間を通り抜けられるかどうかはわからなかった。
 しかし、いつまでも留まっていられないことも彼はよくわかっていた。
 意を決し、昌浩を抱き直す。次元の回廊へと足を踏み出し、紅蓮は真っ白な光の渦へと身を投じていった。

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長編・朧月夜、第十章(1)を更新しました。

…更新期間かなり空いてすみませんでした…言い訳はいくつかあるんですが言い訳なので言いません。お詫びに来週月曜午後7時にまた更新します。
しかし当分バトルはお腹いっぱいです…きついわあ。疲れる…

 真っ先に駆け寄ったのは紅蓮だった。
 ずっしりと重さを増した丞按をどかす。その拍子に、まだ熱さの残る血が昌浩の胸から腹にかけてぼたぼたと零れ落ちた。しっかりと握り締められている筆架叉が、丞按の腹から濁った音と共に引き抜かれる。
 割れた額から流れ落ちていた彼自身の血は、丞按のものに上塗りされて混じってしまった。顔も、胸も、腹も、腕も、鮮やかな真紅によって染め上げられ、端から生暖かい滴が滴り落ちている。鼻腔が立ちこめる血臭に麻痺するまでいくらもかからなかった。
 紅蓮にとっては、けして肯定することのできない過去を思い出す、凄惨な情景だった。
 時折噎せ、荒い息を吐きながら、昌浩は半身を起こした。その左手にはまだ筆架叉が握られている。鮮血で濡れた刃が、ぬらりと茜色に光った。その光を凝視したまま肩を上下させ、昌浩が呆然と呟く。
「……ごめん、」
 掠れた声が呼吸の合間に落ちる。
 のろのろと両腕が動き、べっとりとした血糊を衣装の裾で拭った。だが一度では拭き取れず、同じ動作を二度三度繰り返し、ようやく表面の曇りが晴れる。
 強ばった左手が震えながら開かれた。なかなか言うことを聞かない拳を昌浩は右手で無理矢理に広げる。鋼特有の硬質な音を立てて筆架叉が落ちた。その柄は真っ赤に染まっている。
 昌浩の手も同じ色に染まっていた。裾で乱暴に手のひらを拭ってから、彼が筆架叉を拾う。丁寧に柄の血を拭い終えると、昌浩は座り込んだまま、傍らの勾陳を見上げた。
「汚しちゃった。ごめん」
 血の気の引いた青白い肌。――失血のせいばかりではないだろう。
 逆手に持ち変えて差し出された筆架叉を、勾陳は無言のまま受け取った。
 昌浩の呼吸は未だ落ち着いていない。筆架叉を介して勾陳に細かな振動が伝わる。関節が強ばっているのか、彼は苦労して筆架叉から手を離した。重たそうに腕を持ち上げて、籠手で顔の血をぞんざいに擦る。それを見かねた六合が、有無を言わさず自分の霊布で昌浩の顔を拭った。
「いいって……」
「駄目だ」
 抵抗されたものの動きは緩慢で、血を拭き取るには問題なかった。赤い色が無くなってから手を離す。と、昌浩はすぐ側に転がっていた丞按の死体に視線を移していた。
 命の息吹を感じられない、完全に動かなくなった、物言わぬ骸。
 昌浩が殺した人間。
 戦いの際に放っていた硬質な光は既に彼の両眼からは失われていた。
 無言のまま、彼がゆっくりと立ち上がった。その足下はふらふらとして頼りない。たたらを踏みそうになったところを紅蓮に抱き止められる。短く礼を返して、昌浩は一歩、丞按に近づいた。
 服に染み込んだ血が一筋、太股を伝って地面に落ちる。
 昌浩は丞按の顔を見つめていた。――怨唆と苦悶、狂気と憤怒に満ちた表情を。死してなお安らかに眠ることのできない彼自身の呪いを。
 丞按の過去に何があって、何の為に動いていたのか、昌浩に知る術はない。知ったところで、何ができたかもわからない。やはり互いに相入れぬまま、こうして同じ結末を迎えたかもしれない。
 どうして丞按が藤原氏を狙ったのか。その理由くらい聞き出せばよかったのだろうか。
 それでも。
 昌浩の意思で――それも憎しみで、ひとつの命を奪ったことには変わりがない。
 だからこれは自己満足だ。自分の心を慰める為の取り留めのない思考。初めて人間を殺した自分自身を、慰める為の。
 ぼうと、空気の揺れる音がして昌浩の片手に炎が灯った。丞按に向けてその腕が翳される。すると炎はするすると伸びて、骸に点火した。
 白い狐火は幻想のように、熱も音も発さず丞按を包み込んだ。何も燃やさない筈のその火が、丞按の肌を、肉を、ゆっくりと焼いていく。溶けた屍肉が白い灰と化して地面の上に降り積もっていく様子を、昌浩は網膜に焼き付けるように、直視したまま目を逸らさなかった。
 やがて丞按の姿をしたものが完全に形を崩し、骨も何もかも灰に変化したのを見届け、昌浩は口を開いた。
「……帰ろう。中宮を連れて帰らなきゃ――きっと晴明が心配してる」
 丞按が向かおうとしていた、空間の歪み。それに視線を向けた、まさにその瞬間だった。
 轟音と衝撃、閃光が皆を襲った。予感も前触れもなく、完全に不意を突かれた形になって、昌浩は防御することもできなかった。寸前で障壁を創った神将たちは直撃を免れたが――昌浩は爆発から身を守れず、もろに喰らって吹っ飛んだ。
 神将の障壁の範囲内に昌浩は入っていなかった。故に、彼はあっけなく地に伏した。その左腕はあらぬ方向に捻れ、赤い肉と白い骨が覗いている。
 動かない。
 ざあっと紅蓮の全身から血の気が引いた。音が遠くなり、己の鼓動ばかりが頭の中で響く。思考は凍り付いた。反面、突然の奇襲に対応した体は自律して動いている。無意識に炎が両手に灯り、視線は襲撃者を求めて左右を見渡した。
 すぐ近くにわだかまる、禍々しい妖力を感じ取る。
 紅蓮の瞳が苛烈に煌めいた。真紅の双眼が砂煙の向こうの天狐を捉えるや否や、炎蛇が猛烈な速度で空を裂き襲いかかる。砂が熱と風に煽られ、ほんの一角のみ晴れる。その先に、敵が佇んでいた。
 岩に鉄が叩きつけられるような、耳障りな異音が上がる。赤々とした火の粉が舞い散り、蛇は左右にぱっと断ち割られた。
 鉛の瞳にざんばらの長髪。この異空間の創生者――天狐凌壽が、半球状の障壁の中からうっそりとした笑みを浮かべ、神将たちを睥睨していた。
「貴様…っ!」
 紅蓮が唸ると同時に、勾陳が疾風のように走った。
「六合! 中宮を連れて下がれ! すぐにだ!」
 彼女の鋭い声に六合は一瞬迷う素振りを見せた。だがすぐに鳶色の髪を翻し、結界に囲まれた中宮の元へ駆け寄る。中宮は攻撃に巻き込まれておらず無事だったが、今からこの一帯がどうなるかはわからない。凌壽の目的がこの娘にないにせよ、退避は必要だった。
 六合が中宮を抱え離れていくのを確かに見届け、勾陳は抜き放った筆架叉の刃を凌壽に振り下ろした。
 しかし、その袈裟掛けの一撃は耳障りな音に阻まれる。
 凌壽の片手から伸びた五本の爪が、彼女の筆架叉を受け止めていた。
「……っ」
 防がれると見るや一瞬にして得物を引き、一歩踏み込みながら勾陳はもう一方の筆架叉を下段から振り上げた。が、それも爪に阻まれる。ちっと舌打ちをして右足を凌壽の腹めがけて蹴り上げるが、凌壽はそれをも読んでいたのか、間合いを外して神速の一撃を避けた。
「――騰蛇!」
 けれども、凌壽が相対しなければならない敵は、勾陳だけではない。
 最強の神将が、この場には居るのだ。
 人間相手には奮えなかった、制限なしの神気が爆発するかの如く広がった。肌が爛れるほど熱い焔が、罪人を焼き殺す獄炎が、十二神将騰蛇に呼ばれ異界に召還される。凌壽が目を見張って、新しい玩具を与えられた幼児のようにはしゃいだ。
「へえ、意外にやるもんだな」
「ほざけ!」
 焔が勢いを増し、白炎と化す。大気が熱で歪む。その歪みの中から白銀の龍が形作られ、旋風を巻き起こしながら凌壽を追った。
 凌壽はこの状況になっても、常の薄笑いを崩していなかった。余裕を見せつけるかのように翳した腕の先に障壁が形成される。それで紅蓮の渾身の攻撃を防ごうというのだ。
 だが、紅蓮の執念が上回った。
 障壁に龍が激突し、消え失せる――そう見えたのはただの一瞬で、衝撃に身を崩すことなく、龍は天狐の障壁を自らの牙で食い破った。凌壽の笑いが消え、その片足が一歩後ろへと下がる。しかし、その回避は間に合わなかった。
 白銀の龍が痩身に食らいつき、真っ白な火柱が立ち上る。
 痛みを覚える程の高熱が勾陳たちの全身に叩きつけられた。勾陳が歯を食いしばって片腕で目を防ぐ。紅蓮は後方で火の行方を睨んでいた。どれだけ炎が上がろうと、薪が燃えかすにならなければ意味はない。それに――
 突如、冷水に焼けた石を投げ込んだような音が弾けた。同時に火柱が四散する。
 頬が裂けそうな凄絶な笑みを浮かべた凌壽が、ぎらぎらとした光を紅蓮へ向けていた。
 紅蓮の予想と違わない結果だった。相手は天狐なのだ。それもずっと凶悪で、力の強い妖狐。あの一撃だけで倒せるほど弱いとは考えていなかった。あれで倒せるのだったら、とうの昔に殺している。
「少し効いたぞ……」
 凌壽がうっそりと呟いた。力押しで消し飛ばした負荷の影響か、右手が小刻みに震えている。その機を逃さず、勾陳が両の筆架叉で斬りかかった。
「貴様を倒して、晴明を救う……!」
 一方が刃に、一方が盾に変幻自在に切り替わる二刀流ならではの猛攻が凌壽を襲う。が、凌壽は左の爪のみでそれらを受け流した。次第に勾陳の表情が険しくなっていく。
 騰蛇の攻撃は通じた。けれど自分の攻撃は通じない――これが十二神将の、埋まらない一番手と二番手の差なのだ。
 だんだんと焦りに満ちる彼女の思考を読んだかのように、次の瞬間凌壽が嘲った。
「この程度でか? やってみろよ、神将」
 強烈な侮蔑に、思わず勾陳の両眼が金色に煌めく。
「どけ、勾!」
 その時、彼女の背後から龍が殺到した。燃え盛る灼熱の神気が、さらなる高熱でもって彼女の心を引き戻す。己の感情を制御する術を思い出した思考は一瞬で平静に立ち返り、しなければならない行動を導き出した。
 微かに眉を歪めた凌壽の足を払う。と見せかけ、跳びのこうとしたその両腿を右の筆架叉で薙ぎ斬ろうとした――それも読まれる――けれど、本命は次撃だった。
 筆架叉を手放す。ごく自然な動作で、腰を右に勢いよく回す。同時にがら空きになった左の手のひらで、撫でるように、凌壽の鳩尾に触れた。
「――っ!」
 しゅっという蛇のような吐息が彼女の唇から漏れると同時に、衝撃で凌壽の身体が宙に浮き上がった。
 読まれないよう神気を用いずに使用した寸頸が、凌壽の足止めに成功したのだ。
 呼吸ができずに凌壽がたたらを踏む。勾陳は横っ飛びに転がって、その場を離れた。一瞬の後、その場に数匹の龍が牙を突き立てて業火が迸る。避ける暇はなく、凌壽はまたも正面から紅蓮の攻撃を受けた形になった。
「やれるか……!?」
「いや……」
 紅蓮は険しい顔のまま、勾陳の問いに答えた。その額に汗が浮いている。全力の神気を行使して龍を操っているのだ。
 彼の視線の先の白い火柱は先ほどのように打ち消されてはいない――けれど微かな抵抗を紅蓮は感じ取っていた。
「まだ死んでいない――」
 そう口走ると同時に、背後で小さな呻き声が聞こえた気がして、彼ははっと振り返った。
「昌浩っ……?」
 視線の先、うつ伏せになっていた昌浩が僅かにもがいていた。意識を取り戻したのだ――
 しかしほっとするのもつかの間、けたたましい笑い声が周囲を満たした。
「どうした昌浩! 俺を殺すまで死なないんじゃなかったのか?」
 太い火柱の中から響く哄笑に、紅蓮は視線を戻した。炎はまだ消されてはいない――だが、凌壽の抵抗は強さを増している。
 炎の中、天狐の妖力がさらに膨れ上がっていく。やがて白い光に紛れ、うっすらと紫色の燐光が見えた。その光は強まり、ついに全景を現す。
 火柱の中、球状の結界を纏った凌壽が、呵々として三人を見下ろしていた。
 結界に防がれ炎は凌壽に届いていない。紅蓮は舌打ちして火勢を強めた。しかし、憎き天狐には堪えた様子が見られなかった。いや、気づいていないのか――凌壽の意識はもう、十二神将から全く離れたところに注がれていたのだった。
 

◆◆◆


 昌浩は激痛にくらむ視界で、息も絶え絶えに声の在処を探していた。左腕が燃えるように熱い。身体は言うことを聞かず動かなかった。唯一動くのは頭だけだったが、それも酷い頭痛で殆ど使いものにならない。どうにか見当をつけて前髪の間から見上げた景色は昏かった。ただ、一点だけが明るい――真っ白な光、太陽の光のように眩しい明かりがあって、大嫌いな男の声はそこから聞こえてくる。
 なんだか無性に悔しくて、昌浩は痛みとは別の涙をぽたりと落とした。
 

◆◆◆


 凌壽がにやりと笑い、結界に包まれたまま右手で天を指した。次の瞬間――轟音が響いたと感じる前に、紅蓮たちは天紫に撃たれ膝に土を付けていた。
 躱す暇はなかった。いくら神将でも、雷撃の速度にかなうわけがない。来るとわかっていればまだ防御のしようもあっただろうが、まさか天狐が雷まで操るとは考えていなかった。
 震える膝を叱咤しながら、彼らは神気で無理矢理に肉体を回復させようとした。動けなければやられるだけ――それがわかっていたからだ。
 だが遅かった。
 黒い帯が風切音を立てて大気を裂く。十二神将が再び立ち上がる前に、長く伸びた凌壽の黒髪が彼らの四肢を拘束して地に叩きつける。衝撃に勾陳が咳き込み、紅蓮がぎろりと眼光を強めた。囚われのまま、拘束を燃やし尽くそうと神気を発しかける。
 が、その瞬間、急激な神気の喪失が彼らの身を襲った。
「ぐっ……!」
 がつんと殴られたような目眩を覚え、視界が暗転する。顔面に砂混じりの固い何かが押し当てられる。それが地面なのだと数瞬遅れて気づき、紅蓮はようやく、自らが地に倒れ伏していることを悟った。
 黒髪がぶつりと途切れ、紅蓮と勾陳を拘束する黒い帯と化す。猛烈な吐き気と強烈な頭痛が交互に襲い来た。抗おうにも力は出ず、凌壽の拘束から逃れることもできない。歯噛みする紅蓮の目の前を、凌壽は悠々と歩んでいく。
 昌浩の前で立ち止まる足を、紅蓮は形容しがたい憎悪を込めて睨みつけた。
 この瞬間、紅蓮にできることといったら、それくらいしかなかったからだ。

綾羅は無事です。ゆらゆらと横揺れがあった程度で済んだ地域でした。 本震発生時は研修中で、すぐに情報を受け取れなかったものですから、遭遇時はまさかここまで被害の大きい地震になるとは思っていませんでした……。twitterで呟いてはいたのですが、ブログしか閲覧していない、という閲覧者の方々もいるかな、と遅まきながら記事を更新している次第です。

地震の被害より津波の被害が大きいこの大地震ですが、皆様のご無事をお祈りしております。早くライフラインなどが回復し、いつもの日常に戻れるといいですね。まだまだ冷え込む時期です。体調にはお気をつけて下さい。
あけましておめでとうございます! 冬コミから帰ってきたのは大晦日、正午回ってからでしたー。その後家のトイレ掃除して、遊星カニ鍋食べて、紅白見て、初詣行ってたら、……年越し紅昌チャットやろうねーって言われてたのにおもっくそ忘れてましたー……あはは
元旦は元旦でのんびりしてたし、戦利品読んだりしてたし。ネットに浮上してねえwww

冬コミでは孫サークルさんの皆様がたと一緒にお食事できて幸せでしたー。オフで…あんな…紅昌話できるなんて私幸せすぎる、死にたい…いやまだ死ねない

今年こそ朧月夜、完結できるといいっすねえ。(他人事)それと並行してオフ本出せたらと画策しております。中篇のストックはいくつかあるんで。まあイベント受かったらの話だけど!

それでは皆様ごゆっくり三が日をお送り下さいー。
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 土塚理弘先生を激しくリスペクトする初心者デュエリスト。腐女子の前にオタク。最近は遊戯王にハマっています。
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